ムーブメントスワップの極意の第二弾!
巻芯の位置の重要性についてです。
まぁ、当たり前の話ですがリューズのチューブの中心に巻芯が刺さっていないと時計は上手く動きません。
瞬間的には無理矢理ずれてケースに収まっていても動くかもしれませんが、どこかに歪みが出てきます。
精密なムーブメントではそれが遅れや止まりに繋がります。
もちろん巻芯の位置がズレないに越したことはないのですが、ムーブメントによって寸法がマチマチなので、それを合わせにいく必要があります。
例えば…
アンドロスダイバーズでクォーツから機械式にスワップしたときは、
巻芯とリューズパイプの位置がずれているので…
リューズパイプを抜いて穴を拡大!
(よいこは真似しないこと!)
リューズパイプをずらして付け直せば…
ほら!ピッタリ★
この後は順調に…
…順調にいかず、リューズパイプ周りからの漏水が止まらず大変でした。
パテで穴の隙間を埋めても、リューズパイプって結構な力がかかるようで、ぽろっと割れるんですよ。
それならと思って弾力のあるシール材で埋めると、ぐにゅっとリューズパイプが動いて気持ち悪い。リューズパイプが動くと、巻芯がグラつく。巻芯がグラつくと、文字盤もグラつく。
いつの間にか針が文字盤を引っ掻いて傷が入り…と、なかなか大変でした。
リューズパイプの付け替えは、しっかり固定できるように考えましょう!
そんなある日。
巻芯の位置に合わせてリューズパイプを動かすのではなく、リューズパイプの中心に巻芯が来るようにムーブメントをセッティングすればいいじゃないか!
と、天の声が聞こえました。
早速天の声を実践するためにムーブメントの寸法を調査します。
ネット上にムーブメントの図面ってあるもんなんですね。
これはセイコーNH35。
文字盤と巻芯の距離は1.92ミリ。
これはMIYOTA8215
文字盤と巻芯の距離は2.52ミリ。
こういったやり方で、きちんと寸法を押さえてケースや文字盤、巻芯の距離の関係を把握します。
そして、そのギャップを調整する「何か」を見つけます。
先程のセイコーNH35をMIYOTA8215のケースにいれるには、0.6ミリケースと文字盤側に距離をとります。
文字盤とムーブメントの間に距離を取ってもダメですよ。
文字盤の表面に針を受ける部分が出てこなくなり、針がつかなくなります。
文字盤とケースの間に距離をとるには、薄いワッカが必要です。
色々と探したり試したりしたなかではこれが一番よかったです。
ガスケット。
これは本来ならガラスを受けるガスケット(パッキン)なんですが、径の大きさが0.1ミリ刻みで指定でき、安くて加工できることから便利でした。
ほら、ピッタリ★
このガスケットは厚さ0.8ミリでしたので、すこーし削って使いました。
こうやってリューズパイプの中心に巻芯が入れば、ムーブメントをしっかり固定して、スワップ完成!!!
…なんて、世の中甘くないですよw
まだまだ極意は続くのですw