snkd97’s blog(G/N design)

snkd97と仲間たち!続編です。G/Nブランドの確立を目論みますw解る人には解る。解らない人にはちっとも解らない。そんな世界です。

ムーブメントスワップの極意 その2

ムーブメントスワップの極意の第二弾!

巻芯の位置の重要性についてです。

 

まぁ、当たり前の話ですがリューズのチューブの中心に巻芯が刺さっていないと時計は上手く動きません。

瞬間的には無理矢理ずれてケースに収まっていても動くかもしれませんが、どこかに歪みが出てきます。

精密なムーブメントではそれが遅れや止まりに繋がります。

 

もちろん巻芯の位置がズレないに越したことはないのですが、ムーブメントによって寸法がマチマチなので、それを合わせにいく必要があります。

 

例えば…

アンドロスダイバーズでクォーツから機械式にスワップしたときは、


f:id:snkd97:20201223230328j:image

巻芯とリューズパイプの位置がずれているので…

 

 


f:id:snkd97:20201223230405j:image

リューズパイプを抜いて穴を拡大!

(よいこは真似しないこと!)

 

 


f:id:snkd97:20201223230448j:image

リューズパイプをずらして付け直せば…

 

ほら!ピッタリ★

 

この後は順調に…

 

…順調にいかず、リューズパイプ周りからの漏水が止まらず大変でした。

 

パテで穴の隙間を埋めても、リューズパイプって結構な力がかかるようで、ぽろっと割れるんですよ。

 

それならと思って弾力のあるシール材で埋めると、ぐにゅっとリューズパイプが動いて気持ち悪い。リューズパイプが動くと、巻芯がグラつく。巻芯がグラつくと、文字盤もグラつく。

 

いつの間にか針が文字盤を引っ掻いて傷が入り…と、なかなか大変でした。

 

リューズパイプの付け替えは、しっかり固定できるように考えましょう!

 

 

そんなある日。

 

巻芯の位置に合わせてリューズパイプを動かすのではなく、リューズパイプの中心に巻芯が来るようにムーブメントをセッティングすればいいじゃないか!

と、天の声が聞こえました。

 

早速天の声を実践するためにムーブメントの寸法を調査します。

ネット上にムーブメントの図面ってあるもんなんですね。

これはセイコーNH35。

文字盤と巻芯の距離は1.92ミリ。
f:id:snkd97:20201223231346j:image

 

 

これはMIYOTA8215

文字盤と巻芯の距離は2.52ミリ。
f:id:snkd97:20201223231404j:image

 

こういったやり方で、きちんと寸法を押さえてケースや文字盤、巻芯の距離の関係を把握します。

 

そして、そのギャップを調整する「何か」を見つけます。

 

先程のセイコーNH35をMIYOTA8215のケースにいれるには、0.6ミリケースと文字盤側に距離をとります。

文字盤とムーブメントの間に距離を取ってもダメですよ。

文字盤の表面に針を受ける部分が出てこなくなり、針がつかなくなります。

 

文字盤とケースの間に距離をとるには、薄いワッカが必要です。

色々と探したり試したりしたなかではこれが一番よかったです。

 


f:id:snkd97:20201223232159j:image

ガスケット。

これは本来ならガラスを受けるガスケット(パッキン)なんですが、径の大きさが0.1ミリ刻みで指定でき、安くて加工できることから便利でした。

 


f:id:snkd97:20201223232342j:image

ほら、ピッタリ★

 

このガスケットは厚さ0.8ミリでしたので、すこーし削って使いました。

 

こうやってリューズパイプの中心に巻芯が入れば、ムーブメントをしっかり固定して、スワップ完成!!!

 

…なんて、世の中甘くないですよw

まだまだ極意は続くのですw