さて、最近は前回記事で書いた3Dプリンターについて、どういうモノを買おうか研究しています。
大きくはレジンを紫外線で硬化する光学造形方式というようなモノと熱でフィラメントを溶かしてプリントする熱溶解積層方式というモノに分かれるようです。
それぞれのメリットとデメリットは色々なサイトに載っているので割愛しますが、時計のケースや部品を作るとしたら、どちらがいいかと考え中です。
一方、匂いとかコストも気になるところで、本当は光学造形方式の方が細かいところまで作り込めるようですが、匂いの問題もあり熱溶解積層方式にした方が良いのかな…と弱気にもなってます。
いや、家の中でやるんで、家族からのクレームが出たらどうにもならないしな…
ということで、熱溶解積層方式になるかな~
で、肝心の3Dデータは、ベクターワークスでも作れるみたいなので、だったら簡単に作業できます。
このCADは大学のときから使ってたものなので目を瞑っていても描けます。
…ぃゃ、嘘です。目は開いてないと描けませんけどw
柔らかい膨らみなんかはライノセラスというCADで描くとか、グラスホッパーと連動させるとかできるので、そちらも使うことになりますが、とりあえず3Dデータは作れそうです。
データやCADの話は以上としますが、肝心なのはモデルのデータですね。
王様潜水艦時計のケースをマジマジと眺めていたところ、意外と幾何学的なルールで構成されているように思えましたので、簡単にルールを設定しながら書いてみました。
ケースを見てると色々な補助線が勝手に見えてくるのは職業病なのか、超能力なのかw
まず、直径38ミリの円を描きます。
38ミリは仮設定です。何ミリでもいいです。
その円に15度刻みで放射状に線を描きました。
24本の線になりますから、時計とは親和性のある数ですね。
いわゆるインデックスがある12時間の目盛りの間に30分の目盛りが入っていることになります。
ここから先は何時の線って呼びますね。
これらの線の中で、2時半の線、3時半の線、8時半の線、9時半の線と円に接する線を引きます。
要はこれら4本の線に直角に交わる線ですね。
それが1時、5時、7時、11時の線と交わる点を出します。
その点から12時半、5時半、6時半、11時半の線と直交する線を引きます。
その線の中点(黄色の点)をつなぐ線を描くとラグっぽいラインになります。
ちなみにラグ幅は20.15ミリになります。(円形が直径38ミリの場合)
ラグ幅を調整したい時はこの線を横にずらせばいいんです。とりあえず線分の「中点」にしておきます。
ここまで描いたら、ラグの形状が見えてきますのでケースサイドの形を取り出します。
とりあえず適当に奥行きを設定しておきましょう。
こんな感じのモデルになります。
次は横からみたラインを描きます。
先程のラグの形状のモデルを横から見たものに、線を書き足しました。
7時半と10時半のラインから横に補助線を引きます。
その補助線上に中心を持ち、ケースの下端に円が接するように最初に書いた38ミリ円の倍の直径の76ミリの円を描きます。
また、7時半と10時半の線に中心を置いたラグの先までを半径としたと円も描きます。大体10ミリちょっとの半径になります。
これらの点を繋ぐと、なんとなくケースサイドのボリュームが見えますね。
奥行き寸法を設定すると
こんな形になります。
先程の正面から見たボリュームと、この2つのボリュームの重なる部分だけを抽出すると、ラグの部分ができるので、円形のケースを組み合わせます。
ケースの本体部分を組み合わせると、こんな感じ。
ムーブや風防を嵌めるための溝や裏蓋は今後作り込みます。
別アングルからみた形状です。
ざっとですが、イメージは合ってます。
意外に思ったのはこのケースの立体的な形、最初の円を描いてしまえば、上記のルールで作図すると機械的に決まってくるんですよね。
私が勝手に設定する寸法が割り込む余地はありませんでした。
真ん中の円柱の高さだけ任意に決めましたが、これは細かい作り込みで変わるので暫定です。
ベゼルの形やデザインでも変わるでしょうし。
早く3Dプリンターで確認してみたいですが、しばらくはリューズの穴や裏蓋の納まり、風防の付け方をCAD上で考えておきましょう。
ということで、ケースのモデリングを忘れないための私の備忘録ですw
見た目がスッキリしていて整然と構成されているデザインって、こういう人が任意に設定していないルールに則っていて、それを人間の目は無意識に拾い上げて評価してるんだというのが私の持論です。(いや、デザインの常識?)
人の手が入り込んでない神様の決めたルール(幾何学形の作図)は美しいんですw